野原の分かれ道に立つ生徒と五つの道の先の景色を描いた手描き風のイラスト

不登校と進路

不登校の子が高校に進むときの選択肢5つ|制度の違いと選ぶ順番

不登校の状態から高校進学を考えるとき、選択肢は全日制高校だけではありません。通信制高校、定時制高校、サポート校の併用、高卒認定試験と、それぞれ仕組みも卒業までの道筋も違います。違いを知らないまま「行ける学校」を探すと、入学してから合わないことに気づくことになります。

この記事では、5つの進路をそれぞれの制度から説明し、通学の頻度・卒業までの年数・得られる学歴・費用の4つの軸で並べます。あわせて、中学3年生が1年をどう使うかの目安と、選ぶときの順番も整理しました。

この記事の要点

  • 進路は通信制高校、定時制高校、通信制+サポート校、高卒認定試験、全日制への再挑戦の5つ
  • 高卒認定は「認定」であって、最終学歴は高校卒業にならない
  • サポート校は高校ではないため、学費は通信制高校との2階建てになる
  • 選ぶ順番は、生活リズム→通学できる頻度→費用→学校名。学校名から入ると迷う
  • 中学3年生は、夏までに情報収集、秋に説明会、冬に出願というのが基本の流れ
不登校から高校を選ぶ順番を、生活リズム、通える頻度、費用、学校の絞り込み、説明会の5段階で示した図解
当サイトで作成した図解です(出典: 本記事の本文)

数字で見ると、これは珍しい進路ではない

文部科学省の「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、小中学校の不登校児童生徒数は小学校137,704人、中学校216,266人、合計353,970人でした。12年連続の増加ですが、増加率は小学校5.6パーセント、中学校0.1パーセントと前年度より鈍化しています。

中学校の生徒数は学校基本調査(令和7年度)で310万5千人ですから、調査年度に1年のずれはあるものの、単純に比べればおよそ14人に1人という割合になります。1クラスに2人か3人という規模で、特別な事情ではありません。同じ調査では、学校内外の機関等で専門的な相談・指導等を受けていない児童生徒が約13万6千人いるとされており、相談先につながらないまま進路の時期を迎える家庭が相当数あることも読み取れます。

選択肢1 通信制高校

通信制高校は、レポート提出・スクーリング(面接指導)・試験の3つを満たして単位を取得し、卒業を目指す仕組みの高校です。文部科学省の高等学校通信教育規程に基づいて設置されており、公立・私立を問わず全国にあります。卒業には3年以上の在籍と74単位以上の修得、特別活動への参加が必要というのが基本の形です。

スクーリングの頻度は学校によって大きく違います。年に数日の集中スクーリングで済む学校もあれば、週1日から5日までコースを選べる学校もあります。同じ「通信制高校」という言葉でも、実際の通学負担は年6日から週5日まで開きがあるということです。学校を比べるときは、まずここを確認してください。

学費も幅があります。就学支援金の適用後で年間数万円に収まる学校もあれば、コース費用を含めると年間50万円を超える学校もあります。当サイトでは各校の学費を通信制高校の学費を都道府県別に比較にまとめ、費用の仕組みは通信制高校の学費は結局いくらかかるかで解説しています。

選択肢2 定時制高校

定時制高校は、主に夜間や特定の時間帯に授業を行う高校です。全日制と同じように登校しますが、1日の授業時間が短く設定されているコースが多く、学校教育法上の修業年限は3年以上です。全国に437校ある夜間定時制は4年で卒業する課程が中心ですが、午前・午後・夜間の三部制をとる多部定時制のように、他の部の授業を追加履修して3年で卒業できる設計の学校もあります。通信制と定時制のどちらが向いているかは、通信制高校と定時制高校はどっちが向いているかで、生徒の背景・退学率・卒業後の進路を国の調査データで比べています。同年代との関わりがどれくらいあるかが気になる場合は通信制高校で友達はできるか、学習面や対人面の支援が必要な場合は特別な支援が必要な子の通信制高校選び、中学3年生で進学準備の段取りを知りたい場合は中学生の不登校、高校進学に向けて今からできる準備も参考にしてください。

同世代だけでなく、社会人など幅広い年齢層の生徒が在籍していることも特徴です。全日制ほどの通学負担は避けたいけれど、決まった時間に登校するリズムは保ちたい、という場合に選択肢になります。公立が中心のため、学費は私立の通信制高校より抑えられることが多い点も実務的な違いです。

選択肢3 通信制高校とサポート校の併用

サポート校は、それ自体では卒業資格を出せない民間の教育機関です。通信制高校に籍を置きながら、レポート作成の支援や日々の通学の受け皿として利用します。卒業資格はあくまで在籍している通信制高校から出ます。

費用は通信制高校の学費とサポート校の費用の2階建てになります。資料請求のときは必ず両方の金額を分けて確認してください。片方だけを見て予算を立てると、実際の負担が想定の倍近くになることがあります。当サイトで扱っているサポート校にはトライ式高等学院、KTCおおぞら高等学院、学研WILL学園などがあります。

選択肢4 高卒認定試験

高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)は、高校を卒業していなくても、大学入学資格や就職の際に高校卒業と同等以上の学力があると認定してもらえる試験です。文部科学省が年2回実施しており、合格した科目ごとに認定されるため、一度ですべての科目に合格する必要はありません。

注意したいのは学歴の扱いです。高卒認定はあくまで「認定」であり、最終学歴は高校卒業になりません。大学進学や資格試験の受験資格としては有効ですが、就職で高卒以上を条件とする求人では扱いが異なる場合があります。進学を前提にしている場合は有力な選択肢ですが、学歴そのものが必要な進路を考えているなら、通信制高校で卒業資格を取るほうが確実です。

受験資格・試験科目・費用・免除の仕組みは高卒認定試験とは?受験資格・試験科目・費用を解説で詳しく整理しています。令和8年度第1回試験からは「情報」が必修科目に加わり、合格に必要な科目数が増える改定も予定されています。

選択肢5 全日制高校への進学・再挑戦

不登校を経験したからといって、全日制高校の道が閉じるわけではありません。中学校の欠席日数を選考でどう扱うかは学校や自治体によって異なり、学力検査の比重が高い入試や、欠席日数を考慮する制度を設けている自治体もあります。まずは在籍している中学校や教育委員会の相談窓口で、地域の入試制度を確認してください。

高校のあとに大学進学を考えている場合は、学校によって進学支援の形が大きく違います。通信制高校から大学へ進めるか?進学支援を4つの型で比べるで4つの型に整理しています。

ただし、入学後に毎日通えるかどうかは別の問題です。進学できるかと、通い続けられるかを分けて考える必要があります。

調査書や欠席日数が具体的にどう扱われるかは、都道府県ごとに仕組みが違います。47都道府県の実施状況は不登校でも高校受験はできる?調査書と欠席日数の扱いを47都道府県の実施状況から確認にまとめました。

5つの選択肢を並べて比べる

選択肢 通学の目安 卒業までの年数 得られる学歴 費用の傾向
通信制高校 年数日〜週5日(学校・コースによる) 3年以上 高校卒業 就学支援金適用後で年数万円〜50万円超
定時制高校 ほぼ毎日(1日の時間は短め) 3〜4年 高校卒業 公立中心で抑えやすい
通信制+サポート校 サポート校の方針による 3年以上 高校卒業 2階建てのため最も高くなりやすい
高卒認定試験 試験日のみ 合格するまで 高卒認定(学歴は中学卒業のまま) 受験料と教材費のみ
全日制高校 毎日 3年 高校卒業 公立は抑えやすい
制度の一般的な形をもとに当サイトで整理。個別の条件は学校・自治体により異なります。

選ぶ順番を間違えない

学校名から探し始めると、情報量に押されて決められなくなります。次の順で絞ると迷いにくくなります。

  1. 今の生活リズムを確認する。朝起きられるか、外出できるか、人と会えるか。ここが出発点です。
  2. 通える頻度の上限を決める。年数日なのか、週1日なのか、毎日なのか。無理な想定を置かないことが大事です。
  3. 費用の上限を決める。就学支援金の適用後の金額で考えます。サポート校を使うなら2階建てで計算します。
  4. 条件に合う学校を絞る。ここで初めて学校名を見ます。
  5. 説明会と個別相談で確かめる。パンフレットに書かれていない運用は、人に聞かないと分かりません。

中学3年生の1年の流れ

時期の目安を持っておくと動きやすくなります。学校によって出願時期は異なるため、志望校が決まったら必ず募集要項で確認してください。

時期 やること
春〜夏 制度の違いを把握する。中学校に進路相談の意向を伝える。気になる学校の資料を3〜5校請求する
夏〜秋 学校説明会・個別相談に参加する。スクーリングの日数と学費の総額を確認する
秋〜冬 出願校を決める。募集要項で出願期間・選考方法・必要書類を確認する
冬 出願・選考。通信制高校は複数回の出願機会を設けている学校が多い
入学後 レポートの提出ペースをつかむ。つまずいたら早めに担任に相談する

通信制高校は、新入学の時期を4月だけに限っていない学校もあります。秋入学や転入・編入を随時受け付けている学校もあるため、年度の途中で状況が変わっても選択肢は残ります。

よくある誤解

誤解1 通信制高校は勉強しなくても卒業できる。レポート・スクーリング・試験の3つを満たす必要があり、期限までにレポートを出せずに単位を落とす人がいます。詳しくは通信制高校で卒業できない人がいるのはなぜかで説明しています。

誤解2 サポート校に入れば高校を卒業できる。サポート校は高校ではありません。卒業資格は在籍する通信制高校から出ます。

誤解3 高卒認定に合格すれば高卒になる。学歴は中学卒業のままです。大学進学の資格は得られます。

進学前の段階で相談したい場合

まだ高校の話をする段階ではない、という場合もあります。中学生のうちに学習の遅れや生活リズムを立て直したいなら、フリースクールやオンライン学習の利用が選択肢になります。在籍校の出席扱いを目指せる仕組みもあり、要件と進め方は不登校の出席扱いとは?文部科学省が示す7つの要件と申請の進め方にまとめています。

フリースクールと通信制高校、サポート校の違いはフリースクールとは何か、通信制高校とどう違うかで整理しました。学習の遅れを個別に取り戻したい場合はオンライン家庭教師おすすめ比較もあわせてどうぞ。

まず資料を見てみたい場合

全国から選べる広域通信制高校としては、N高等学校、クラーク記念国際高等学校、第一学院高等学校、ルネサンス高等学校などが知られています。当サイトでは各校の学費・スクーリング日数・卒業要件を公式の募集要項から確認して記事にしています。資料請求の具体的な進め方は通信制高校の資料請求はどこからするのが早いかにまとめました。

よくある質問

一度不登校になると全日制高校には進めませんか

進めます。欠席日数を選考でどう扱うかは学校や自治体によって異なり、学力検査の比重が高い入試や、欠席日数に配慮する制度を設けている自治体もあります。まず在籍する中学校や教育委員会の相談窓口で地域の制度を確認してください。

高卒認定試験に合格すれば高校を卒業したことになりますか

なりません。高卒認定は高校卒業程度の学力があるという認定で、最終学歴は中学卒業のままです。大学進学や資格試験の受験資格としては有効です。学歴として高校卒業が必要な進路なら、通信制高校などで卒業資格を取ることを検討してください。

通信制高校はどのくらい通う必要がありますか

学校とコースによって大きく違い、年数日の集中スクーリングで済む学校から、週5日通うコースを持つ学校まであります。募集要項でスクーリングの日数と会場を必ず確認してください。

途中で進路を変更することはできますか

通信制高校から定時制高校への転校など、制度上は可能な組み合わせがあります。ただし修得済み単位の引き継ぎ方は学校ごとに異なるため、検討段階で転入・編入の相談窓口に確認しておくと安心です。詳しくは通信制高校の転入・編入はいつできる?辞める前に確認する6項目をご覧ください。

費用が一番抑えられるのはどれですか

受験料と教材費だけで済む高卒認定試験です。ただし学歴にはなりません。高校卒業の資格を得るなら、公立の定時制高校や、就学支援金適用後の負担が小さい通信制高校が候補になります。

サポート校は必要ですか

必須ではありません。レポートを自力で進められるなら通信制高校だけで卒業できます。通う場所や対面での支援が必要な場合に検討する選択肢です。費用が2階建てになる点は必ず計算に入れてください。

4月以外でも入学できますか

通信制高校には10月入学を設けている学校や、転入・編入を随時受け付けている学校があります。年度の途中で状況が変わっても選択肢は残ります。

何校くらい資料請求すればよいですか

3〜5校が目安です。多すぎると比較に時間がかかります。通学できる頻度と費用の上限を決めてから絞ると、候補は自然に少なくなります。

まとめ

不登校からの高校進学には、通信制高校、定時制高校、通信制とサポート校の併用、高卒認定試験、全日制への進学という5つの道があります。どれが正解ということはなく、今の生活リズムと通える頻度、費用の上限から逆算して絞るのが現実的です。

制度の違いで押さえておきたいのは3つ。通信制高校の通学負担は学校によって年数日から週5日まで開きがあること、サポート校は高校ではなく費用が2階建てになること、高卒認定は学歴にならないこと。この3つを踏まえたうえで、資料請求と説明会に進んでください。

よく聞く懸念を公式情報で検証した「通信制高校はやめとけ」と言われる5つの理由を公式情報で検証もあります。資料請求の進め方は通信制高校の資料請求はどこからするのが早いか、学費の全体像は通信制高校の学費は結局いくらかかるか、学校別の金額は通信制高校の学費を都道府県別に比較にまとめています。

出典:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」/同「令和7年度学校基本調査(確定値、2025年12月26日公表)」/高等学校通信教育規程/文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」。確認日2026年9月9日。

-不登校と進路