通信制高校を検討している家庭から出てくる質問で、学費と並んで多いのが「友達はできるのか」です。この問いに「できます」「できません」と一言で答えている記事は多いのですが、実際に効いてくるのは学校の雰囲気ではなく、選ぶコースによって人と顔を合わせる回数が何十倍も変わるという構造のほうです。この記事では文部科学省の令和7年度通信制高等学校実態調査と委託調査の数値から、通信制で人と関わる機会がどう決まるのかを整理します。
この記事で分かること
- 週5日通学コースの在籍者は37,505人、集中スクーリング前提のコースは86,961人。同じ「通信制高校の生徒」でも登校日数は桁違い
- 入学動機として最も多いのは「対人関係の困難」で54.4%。同じ事情の同級生が多数派
- 通信制の在籍者に占める転入者の割合は各校平均15.4%。年度途中で入ってくる人が常にいる
- 部活動のための寮がある通信制高校は全国で11校・403人
- 学校選びで見るべきは「クラスがあるか」ではなく「同じ人と繰り返し会う設計になっているか」

この記事の比較の基準
使ったのは、通信制課程を置く高校323校すべてを対象にした文部科学省の令和7年度通信制高等学校実態調査と、定時制・通信制を同じ設問で調べた同省の委託調査(令和5年度、有効回答514校)です。「友達ができたか」を直接調べた公的な統計は存在しないため、この記事では人と会う機会の量(通学頻度別コースの在籍者数)、同級生の背景(入学動機・不登校経験・転入者の割合)、関係でつまずいた事例(面接指導に来ていない生徒の理由)という3つの側面から、判断材料になる数値を並べます。口コミサイトの体験談は使っていません。
人間関係の感じ方には個人差があります。ここに挙げるのは学校選びのときに確認できる客観的な条件で、特定のコースを選べば友達ができる、という意味ではありません。
人と会う回数はコース選びでほぼ決まる
通信制高校は、同じ学校の中に登校日数のまったく違うコースが並んでいることがあります。実態調査によると、コース別の在籍者数は次のとおりです。
| コース | 開設している学校数(323校中) | 在籍者数 |
|---|---|---|
| 週5日通学 | 90校 | 37,505人 |
| 週4日通学 | 27校 | 5,712人 |
| 週3日通学 | 63校 | 20,013人 |
| 週2日通学 | 69校 | 13,564人 |
| 週1日通学 | 128校 | 36,929人 |
| 集中スクーリング前提 | 113校 | 86,961人 |
| その他(月1〜2回など) | 123校 | 99,722人 |
出典 文部科学省「令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について」(調査時点 令和7年5月1日、2026年4月21日公表)。コースには正規の教育課程ではない教育活動のために開設するコースも含む。確認日2026年9月20日。
最も人数が多いのは「その他」(月1〜2回の通学など)の99,722人と、集中スクーリング前提の86,961人です。この2つを選んだ場合、年間の登校日数は数日から十数日にとどまります。一方で週5日通学コースには37,505人が在籍していて、こちらは全日制とほぼ変わらない頻度で同級生と顔を合わせます。
つまり「通信制高校で友達ができるか」という問いは、実際には「どのコースを選ぶか」という問いとほぼ同じです。年に数日しか登校しない設計を選んでおいて友達ができないと言うのは、条件が合っていません。逆に、人と会う機会を増やしたいなら週3日以上のコースがある学校を選ぶところから始まります。スクーリングの実際の日数は通信制高校のスクーリングは何日かに学校別の調査結果をまとめています。
同級生はどんな人たちか
入学動機の最多は「対人関係の困難」
文部科学省の委託調査で、各校が自校の生徒の入学動機として挙げた選択肢のうち、通信制で最も多かったのは「対人関係困難(不登校やいじめの経験、精神的な疾患などにより、対人関係に困難を抱えており、それへの対応を重視している)」で54.4%でした。次いで「学習困難(学び直しを求めている)」が続きます。
また「小・中学校及び前籍校における不登校経験がある生徒」の在籍割合は通信制で65.1%です。つまり教室に行きづらかった経験がある人のほうが多数派で、それを前提に学校側も支援体制を組んでいます。「自分だけが特別な事情を抱えている」という状況にはなりにくい環境です。
年度途中に入ってくる人が常にいる
同じ委託調査によると、各校の在籍者に占める転入者の割合は、通信制で平均15.4%(学校によって0〜76.2%)でした。定時制は平均2.3%なので、通信制は人の出入りがかなり多い課程です。
この数字は「関係が安定しない」という意味にもなりますが、「4月に出遅れても輪ができあがっているわけではない」という意味にもなります。転入・編入の時期や手続きは通信制高校の転入・編入はいつできるかで確認できます。
年齢層の幅がある
通信制高校には、中学校を卒業してすぐ入学した生徒だけでなく、他校からの転入・編入生、働きながら学ぶ人、何年か経ってから学び直しに来た人が在籍しています。実態調査では通信制の修業年限を4年以上としている学校が4校(公立のみ)あり、全体では319校が3年です。同級生の年齢が揃っている前提では考えないほうが実態に合います。
部活動や行事はあるのか
部活動のための寮がある通信制高校は、全国で11校(私立9校・株式会社立2校、公立は0校)、寮生活をしている生徒は403人です。設置されている部活動は野球部9校、サッカー部3校、ゴルフ部3校、バレー部2校、バスケットボール部2校、テニス部・柔道部・サーフィン部・ボクシング部が各1校となっています。
これは寮を持つ本格的な強化部活動の話で、寮のない部活動やサークル活動はこの調査の対象外です。部活動や行事をどれくらいやっているかを全国規模で調べた公的な統計はないため、学校ごとに個別に確認するしかありません。資料請求や説明会のときに、部活動の一覧・活動頻度・オンライン参加の可否を聞くのが確実です。聞くべき項目は通信制高校の資料請求はどこからにまとめています。
人間関係のトラブルは起きるのか
実態調査には、在籍しているのに面接指導(スクーリング)に1日も来ていない生徒についての集計があります。令和7年3月31日時点の在籍生徒306,711人のうち8,097人(2.6%)がこれに該当し、学校が挙げた理由の内訳は次のとおりです(該当する生徒が在籍する学校数)。
| 理由 | 該当する生徒が在籍する学校数 |
|---|---|
| 心身に関すること(体調不良、不安・抑うつ、朝起きられない、入院・療養等) | 161校 |
| 生活習慣に関すること(ゲーム・スマホへの依存傾向、あそび・非行、居眠り等) | 81校 |
| 家庭に関すること(生活環境の急激な変化、親との関わり、家族の介護等) | 80校 |
| 学習に関すること(学業不振、授業内容、成績低下等) | 74校 |
| 友人との関係(トラブル(いじめ以外)、親しい友人がいない等) | 42校 |
| 学校生活に関すること(進路への不安、部活動等のトラブル等) | 38校 |
| 仕事に関すること | 15校 |
| 友人との関係(いじめに関すること) | 6校 |
| 教職員との関係(教職員への反抗・反発、トラブル等) | 5校 |
出典 前掲 令和7年度通信制高等学校実態調査。令和7年度開校の29校と、該当する生徒がいない126校の計155校を除いた集計。1人の生徒に複数の理由がある場合を含む。確認日2026年9月20日。
最も多いのは心身に関することで161校。友人との関係は、いじめ以外のトラブルや親しい友人がいないという理由で42校、いじめに関することで6校です。人間関係が原因で学校に来られなくなる状況は通信制でも起きていますが、報告している学校数で見れば心身に関することのほうがはるかに多いという結果です。
なお、文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」で高校の不登校について集計されているのは全日制と定時制で、通信制は対象に含まれていません。参考までに、令和6年度に全日制・定時制で不登校とされた67,782人のうち、学校が把握した事実として「いじめ被害を除く友人関係をめぐる問題」が10.2%、「いじめの被害」が0.9%でした。通信制の数値ではない点に注意してください。
関われる場は学校の外にもある
通信制高校を選ぶ場合、人と関わる場を学校だけに求めない設計も選べます。
- サポート校を併用する 通信制高校に在籍しながら、学習支援や居場所を提供する民間の施設に通う形です。費用は別途かかり就学支援金の対象外です。仕組みはフリースクールとはで整理しています
- 学校が運営するオンラインの場を使う オンライン上の部活動やコミュニティを用意している学校があります。対面が負担な段階では現実的な選択肢になります
- スクールカウンセラーに相談する 人間関係の悩みも相談の対象になります。学習面や対人面で個別の配慮が必要な場合の確認事項は特別な支援が必要な子の通信制高校選びにまとめました。設置者による配置の差は次のとおりです
| 項目 | 公立 | 私立 | 株式会社立 | 全体 |
|---|---|---|---|---|
| スクールカウンセラーに相談できる体制がある学校 | 98.8% | 79.7% | 80.0% | 84.5% |
| スクールソーシャルワーカーに相談できる体制がある学校 | 91.4% | 19.4% | 40.0% | 38.4% |
| 令和6年度間にスクールカウンセラーの支援を受けた生徒(延べ) | 3,173人 | 16,923人 | 1,207人 | 21,303人 |
出典 前掲 令和7年度通信制高等学校実態調査。体制の有無は令和7年5月1日時点、支援を受けた生徒数は令和7年度開校の29校を除く。確認日2026年9月20日。
スクールカウンセラーの配置は公立がほぼ全校(98.8%)で、私立は79.7%です。家庭の経済状況や福祉制度との橋渡しを担うスクールソーシャルワーカーになると、公立91.4%に対して私立19.4%と差が大きくなります。設置者による違いは公立と私立の通信制高校はどっちがいいかで詳しく比べました。
学校選びで確認したい5項目
説明会・資料請求で聞くこと
- 希望するコースの年間の登校日数(何日、どの時期に集中するか)
- 同じ人と繰り返し会う設計か(固定のクラスや担任がいるか、毎回メンバーが入れ替わるか)
- 部活動・サークル・学校行事の一覧と、参加する生徒のおおよその割合
- オンラインでの交流の場があるか、参加は任意か
- 人間関係で困ったときの相談先(スクールカウンセラーの配置日数、担任の有無)
とくに2つ目が重要です。年に数日の集中スクーリングは、毎回顔ぶれが変わる方式だと関係が積み上がりません。同じグループで複数回顔を合わせる設計になっているかどうかで、同じ登校日数でも体験は変わります。この点はパンフレットに書かれていないことが多いので、直接聞くしかありません。
通信制高校の友達づくりに関するよくある質問
通信制高校にクラスはありますか
学校とコースによります。週3日以上の通学コースでは固定のクラスや担任を置いている学校がありますが、集中スクーリング前提のコースでは科目ごとに受講者が入れ替わる方式が一般的です。全国的な統計はないため、志望校に直接確認してください。
登校日数が少ないコースを選ぶと友達はできませんか
対面で会う回数は確実に少なくなります。集中スクーリング前提のコースには86,961人、月1〜2回などの「その他」のコースには99,722人が在籍しており、年間の登校日数は数日から十数日です。人と会う機会を重視するなら、週3日以上の通学コースがある学校を選ぶか、オンラインの交流の場やサポート校の併用を検討することになります。
不登校だったことを周りに知られませんか
通信制高校では、小・中学校や前籍校で不登校を経験した生徒の在籍割合が65.1%です。入学動機として学校が挙げた最多の項目も「対人関係の困難」で54.4%でした。同じ経験をした生徒が多数を占める環境です。
年度の途中から入ると馴染めませんか
通信制の在籍者に占める転入者の割合は各校平均15.4%(0〜76.2%)で、定時制の平均2.3%と比べて人の出入りが多い課程です。年度途中の入学者が常に一定数いる構造になっています。
部活動はありますか
学校によります。全国規模で分かっているのは、部活動のための寮がある学校が11校(私立9・株式会社立2)で寮生活をしている生徒が403人ということだけです。野球部が9校と最も多く、サッカー部・ゴルフ部が各3校続きます。寮のない部活動やサークルは調査の対象外のため、志望校に一覧をもらって確認してください。
いじめは起きていますか
通信制高校のいじめ認知件数を単独で集計した公的な統計は確認できませんでした。関連する数値としては、面接指導に1日も来ていない生徒の理由として「友人との関係(いじめに関すること)」を挙げた学校が6校、「友人との関係(トラブル(いじめ以外)、親しい友人がいない等)」が42校あります(該当生徒がいる168校中)。
人間関係で困ったとき誰に相談できますか
スクールカウンセラーに相談できる体制を整えている通信制高校は全体の84.5%です。設置者別では公立98.8%、私立79.7%、株式会社立80.0%で、公立のほうが配置は進んでいます。令和6年度間にスクールカウンセラーの支援を受けた生徒は延べ21,303人でした。
同級生の年齢は同じですか
揃っているとは限りません。通信制には他校からの転入・編入生、働きながら学ぶ人、学び直しで入学した人が在籍しています。修業年限を4年以上としている学校も4校(いずれも公立)あります。
友達づくりを重視するなら定時制のほうがよいですか
毎日決まった時間に通えるなら定時制も選択肢になります。夜間定時制は1校あたりの生徒数が平均47.6人と小規模で、同じ顔ぶれで過ごす時間は長くなります。課程ごとの違いは通信制高校と定時制高校はどっちが向いているかで比較しています。
まとめ
この記事の要点
- 通信制で人と会う回数はコースで決まる。週5日通学37,505人に対し、集中スクーリング前提は86,961人で年間数日の登校
- 入学動機の最多は「対人関係の困難」54.4%、不登校経験者の在籍割合は65.1%。同じ事情の同級生が多数派
- 転入者の割合は各校平均15.4%。年度途中に入ってくる人が常にいる
- 学校に来られなくなる理由として最も多く報告されているのは心身に関すること(161校)。友人関係は42校と6校
- 確認すべきは「クラスがあるか」ではなく「同じ人と繰り返し会う設計か」
「友達ができるか」を学校の雰囲気の問題として聞くと、パンフレットに書いてあるとおりの答えしか返ってきません。年間の登校日数と、同じ人と繰り返し会う設計かどうかという2つの条件に置き換えて聞くと、学校ごとの違いがはっきり出ます。通信制高校に対する不安をほかにも公式情報で確かめた「通信制高校はやめとけ」と言われる5つの理由の検証や、進路全体を整理した不登校の子が高校に進むときの選択肢も合わせて読んでみてください。今の学校の友人関係を離れる心理的コストも含めて検討したい場合は全日制から通信制へ転校して後悔しないための確認事項にまとめています。
出典一覧
文部科学省「令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について」(2026年4月21日公表、調査時点 令和7年5月1日、対象323校)
文部科学省委託「高等学校における教育の質確保への対応のための調査研究、高等学校の現状に係る調査・分析に係る調査研究」調査報告書(令和5年度、有効回答514校)
文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」(高等学校は全日制・定時制が対象)
いずれも2026年9月20日に確認。
会場の場所については、通信制高校のスクーリング会場を首都圏・大阪で比較で首都圏・大阪の状況を整理しています。