自宅の机で中学生と保護者が書類を一緒に確かめる手描き風のイラスト

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不登校でも高校受験はできる?調査書と欠席日数の扱いを47都道府県の実施状況から確認

「欠席が多いから内申点がつかない」「調査書に出席日数が書かれるから全日制は無理だろう」。不登校の期間があると、高校受験そのものを諦める方向で話が進んでしまうことがあります。

ただ、公立高校の入学者選抜には、不登校を経験した生徒への配慮の仕組みが都道府県ごとに用意されています。文部科学省が毎年実施している調査には、47都道府県が何をしているかが具体的に載っています。この記事では、その集計と各県の実例をもとに、実際にどんな仕組みがあるのかを整理します。

先に結論

  • 最も多いのは「自己申告書」の仕組みで、令和6年度調査では26都道府県が全校で実施している(最新の令和7年度版でも全校実施は26都道府県)
  • 調査書の一部(学習の記録や出欠の記録)を選抜に使わない仕組みを持つ県もある
  • 「欠席が多いことを理由に不合格としない」よう高校へ周知している県がある
  • 国は令和8年6月の通知で、出席の状況だけで不利益に扱わないことなどを各都道府県に望むと改めて示した
  • 制度は都道府県ごとに違う。自分の地域の実施要項を確認するのが唯一確実な方法
公立高校入試での不登校経験者への配慮8類型を、全校実施と一部の学校実施の都道府県数で示した棒グラフ
当サイトで作成した図解です(出典: 本記事の本文)

まず、欠席の多さだけで不合格にはならない

三重県は、不登校等、欠席が多いことを理由に不合格とすることのないよう「実施細目」に記載し、高等学校に周知していると回答しています。茨城県も、不登校等および障害があることにより不利益な取り扱いをしないよう実施細則に規定し、中学校と高等学校に周知しているとしています。

つまり、欠席日数そのものが直接の不合格理由になる、という前提は制度の建て付けとして正しくありません。とはいえ、調査書の評定がつかないことが選考上の不利になり得るのは事実です。だからこそ、それを補うための仕組みが各県に用意されています。

47都道府県は何をしているのか

文部科学省の「令和6年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」では、不登校経験のある生徒の調査書の扱いについて、8つの類型で実施状況が集計されています。

配慮の内容 全校で実施 一部の学校で実施
自己申告書を提出させている、または提出できることとしている 26 3
中学校長から、副申書など生徒の状況を記載した書類を提出させている 9 4
調査書の一部(学習の記録や出欠の記録)を選抜の資料として用いない(ことができる) 8 2
学校以外の場(家庭を含む)における学習状況を何らか調査書に反映する(ことができる) 4 1
不登校の者が受検しやすい学科やコースを設置している 0 5
調査書を用いず、学力検査のみで選抜を行う等、特別な入学者選抜を行う(ことができる) 1 3
学校以外の場における学習状況が分かる資料を提出させ、選抜資料として活用する(ことができる) 1 0
その他 9 2
出典:文部科学省「令和6年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」。単位は都道府県数で、複数の類型を実施している県があるため合計は47になりません。確認日2026年9月10日。

この表から読み取れるのは、配慮の中心が「本人の説明の機会をつくること」にあるという点です。調査書そのものを使わない仕組みは少数派で、多くは自己申告書や副申書で状況を伝えられるようにしています。

最新の令和7年度版では

文部科学省は令和7年12月26日付の事務連絡で「令和7年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」を公表しています。令和8年2月17日には更新版と正誤表も出ています。本文は文部科学省のPDFで読めます。

令和7年度版では、不登校経験者への配慮の表が組み替えられました。「調査書等の提出」(5類型)と「選抜における調査書等の取扱い」(6類型)の2つの表です。上の令和6年度の8類型の表は令和7年度版にはありません。分類が違うので、2年分の数字を同じ物差しで並べて増えた減ったと比べることはできません。最新年度の状況として見てください。

調査書等の提出 全校で実施 一部の学校で実施
調査書等に生徒の状況や学校以外の場(家庭を含む)における学習状況等を反映するように求めている(反映できることとしている) 12 1
中学校長から、副申書など生徒の学習状況や学校以外の場における学習状況等を記載した書類の提出を求めている(提出できることとしている) 11 4
本人から、学校以外の場(家庭を含む)における学習状況等を自己申告書として提出を求めている(提出できることとしている) 26 2
調査書に出欠の記録を求めない 10 2
その他 6 2
出典:文部科学省「令和7年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」。単位は都道府県数で、複数の類型を実施している県があるため合計は47になりません。確認日2026年10月8日。
選抜における調査書等の取扱い 全校で実施 一部の学校で実施
上の表の調査書・副申書・自己申告書を踏まえた選抜を行う(ことができる) 25 1
調査書の一部(出欠の記録)を選抜の資料として用いない(ことができる) 9 2
調査書の一部(学習の記録)を選抜の資料として用いない(ことができる) 6 3
調査書を用いず、学力検査のみで選抜を行う等特別な入学者選抜を行う(ことができる) 1 5
各中学校の独自様式の調査書を選抜の資料として用いることができる 0 0
その他 6 1
出典:文部科学省「令和7年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」。単位は都道府県数で、複数の類型を実施している県があるため合計は47になりません。確認日2026年10月8日。

自己申告書は令和7年度版でも中心にあります。本人が自己申告書を出せる仕組みを全校で実施しているのは26都道府県で、令和6年度調査と同じ数でした。一部の学校で実施は3から2になっています。

令和7年度版では、調査書の一部を使わない仕組みが「出欠の記録」と「学習の記録」に分けて集計されています。欠席の記録と成績の記録のどちらを外せるのかは県によって違うので、自分の県の実施要項で両方を確かめておくと安心です。

国の通知が2026年6月に改めて示された

文部科学省は令和8年(2026年)6月30日付で「高等学校入学者選抜等における配慮事項等について(通知)」(8文科初第882号)を、各都道府県教育委員会の教育長などにあてて出しました。その(6)では不登校の生徒について、次のようなことが望まれると書かれています。

  • 教育支援センター等の公的機関やフリースクール等の民間施設、自宅等で学習を続けている生徒の日頃の努力を適切に評価する
  • 「在籍する学校における出席の状況のみをもって不利益な取扱い(例えば、欠席日数のみをもって出願を制限するなど)をしないようにする」
  • 「生徒の自己申告書や学校以外の場(家庭におけるオンライン学習を含む。)における学習状況に係る資料等を選抜において適切に勘案」する
  • 不登校の生徒が志願しやすいよう、募集のときの内容を工夫する

通知は配慮を「望む」という書き方で、国が各都道府県の選抜の中身をそのまま決めるものではありません。実際の扱いは、これまでどおり各都道府県の実施要項で決まります。また、この通知は令和8年度以降の選抜に向けたものです。この記事で紹介している令和6年度・令和7年度の調査結果とは時期が違うので、分けて読んでください。通知の本文は文部科学省のPDFで確認できます。

いちばん多い「自己申告書」とは何か

令和6年度調査で26都道府県が全校で実施している自己申告書は、欠席が多い理由や現在の状況を志願者本人が説明するための書類です。提出できる条件は県によって違います。

県 提出できる条件・内容
青森県 いずれかの学年の欠席日数がおおむね30日以上ある者が、本人の希望により提出できる
栃木県 欠席が多い状況や理由等を説明しようとする者が提出できる。「欠席が多い」とは第3学年の欠席日数が30日以上の場合
石川県 いずれかの学年で年間30日以上欠席した者が、本人の希望により提出できる
山形県 進路等相談を踏まえ、志願先高等学校長が認めた場合に提出できる
福島県 志願者が直接、受験する高等学校に提出できる
富山県 一部の課程を除き提出できる
出典:令和6年度調査の「具体的内容」欄より当サイトで抜粋。制度は年度により変わります。

群馬県は少し違う形をとっています。全ての志願者が提出して面接の参考とする「インタビューシート」の中で自身の状況を説明でき、その作成にあたって「やむを得ない事情により欠席日数が多いことなど、志願先高等学校に伝えたい内容などについて記入してもよい。この場合、記載の有無や内容によって不利が生じることはない」と周知しています。

この「記載の有無や内容によって不利が生じることはない」という一文は重要です。自己申告書を出すかどうかで迷う家庭は多いのですが、少なくとも群馬県はそれ自体が不利に働かないことを明示しています。他県でも同趣旨の運用である可能性が高いものの、明文化されているかは県によります。中学校の進路担当に確認してください。

調査書の扱いそのものを変える仕組み

自己申告書より踏み込んだ仕組みを持つ県もあります。当サイトが令和6年度調査から確認した例です。

  • 神奈川県:第2学年または第3学年で出席すべき日数の3分の1以上欠席した生徒について、中学校からの欠席状況証明書を添えて「長期の欠席を理由とする選抜方法申請書」を提出した場合、資料の整わない者として取り扱う。この場合、志願者が指定した学年の学習の記録(評定と観点別評価)は選考の資料として使用しない
  • 秋田県:不登校生徒を積極的に受け入れるために、各教科の調査書点の割合を0.25未満に設定することができる
  • 埼玉県:不登校の生徒などを対象とした特別な選抜を、すべての高等学校の一般募集で実施している
  • 佐賀県:全日制2校に不登校経験等がある生徒を対象とした募集枠を設けており、調査書は点数化しない
  • 北海道:不登校生徒の個人調査書は、レポート提出や課題学習などにより学習を評価することが可能であることから、個々の状況に応じて評価し、母集団の中に入れて処理することを原則としている
  • 福井県:調査書において、不登校により評価不能の場合でも、記入漏れと区別するために「*」を記入する
  • 宮城県:中学校長が、心理的・情緒的・身体的等の理由で欠席が多い生徒について副申書等を添付する際に進学後の参考となる事柄を記載し、高等学校長は副申書を選抜資料に加えるとともに特に配慮することができる
  • 山口県:不登校の者が受検しやすい、多部制定時制課程の学科を設置している

神奈川県の仕組みは、指定した学年の評定を選考から外せるという点でかなり具体的です。「内申点がつかないから無理」と考える前に、自分の県に似た仕組みがないかを確認する価値があります。

在籍中にできること:出席扱いの制度

受験の配慮とは別に、中学校に在籍している間にできることもあります。自宅でのICT等を活用した学習や、学校外の施設での相談・指導を、指導要録上の出席として扱う制度です。

文部科学省の「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(令和7年10月29日公表)によると、令和6年度の不登校児童生徒は小・中学校あわせて353,970人で、12年連続で増えています。このうち中学校は216,266人で、1,000人当たり67.9人です。受験を前に同じような状況にいる中学生は決して少なくありません。調査の本文は文部科学省のPDFで読めます。

同じ調査では、自宅でのICT等を活用した学習で出席扱いとなった児童生徒が13,261人、学校外の機関等での相談・指導で出席扱いとなったのが42,978人でした。

この制度を使えれば、欠席日数そのものを減らせます。また、同じ調査では欠席期間中に行った学習の成果を指導要録に反映した児童生徒が81,467人(うち評定等に反映が65,953人)とされており、成績評価についても別の通知で仕組みが定められています。要件と申請の順番は不登校の出席扱いとは?文部科学省が示す7つの要件と申請の進め方にまとめました。調査書の確認をいつ済ませておくとよいかを含め、中3の1年間の動き方は中学生の不登校、高校進学に向けて今からできる準備で時期別に整理しています。

中学3年生の動き方

時期 やること
春〜夏 中学校の進路担当に、自分の都道府県の配慮制度を確認する。自己申告書の有無と提出条件を聞く
夏 都道府県教育委員会が公表する入学者選抜実施要項を自分でも読む。全日制と並行して通信制・定時制の資料も請求する
秋 自己申告書を提出する場合は下書きを始める。学校説明会に参加する
冬 出願。必要書類(欠席状況証明書などが必要な県もある)を早めに準備する

自分の都道府県の制度を調べる5つの手順

  1. 中学校の進路担当に聞く。制度の有無だけでなく、過去に自校から利用した生徒がいるかまで聞けると具体的です
  2. 都道府県教育委員会のサイトで「入学者選抜実施要項」を探す。毎年度公表され、配慮の内容もここに書かれています
  3. 自己申告書の様式と提出条件を確認する。欠席日数の基準(30日以上など)や、どの学年が対象かを見ます
  4. 調査書のどの部分が選考に使われるかを確認する。学年を指定して除外できる県もあります
  5. 志望校に直接聞く。同じ県内でも、特色型選抜など高校ごとの選抜区分で扱いが変わることがあります

この記事の県別の実例は文部科学省の令和6年度調査、最新の集計は令和7年度版に基づく公立高等学校の状況です。入試制度は年度ごとに変わり、私立高校は各校が独自に定めています。必ず、受験する年度の実施要項と志望校の募集要項で最新の内容を確認してください。

全日制以外の選択肢も並行して見ておく

配慮の制度があるとはいえ、全日制に進むことが本人にとって最善とは限りません。入学できるかと、入学後に毎日通い続けられるかは別の問題です。通信制高校、定時制高校、サポート校の併用、高卒認定試験という選択肢もあわせて検討しておくと、判断に余裕が生まれます。整理は不登校の子が高校に進むときの選択肢で行っています。

通信制高校を候補に入れる場合、学校によって通学の負担が年数日から週5日まで大きく違います。通信制高校の学費を地域別に比較から各校の条件を確認できます。

よくある質問

欠席日数が多いと不合格になりますか

欠席が多いこと自体を理由に不合格とすることのないよう、高等学校へ周知していると回答している県があります(三重県、茨城県など)。ただし調査書の評定がつかないことが選考上の不利になり得るため、自己申告書などの仕組みで補う形になります。

国の通知は出ていますか

文部科学省は令和8年6月30日付の通知「高等学校入学者選抜等における配慮事項等について」で、在籍する学校での出席の状況のみをもって不利益な取扱いをしないことや、自己申告書や学校以外の場での学習状況の資料を選抜で適切に勘案することが望まれると示しています。配慮を望む形の通知なので、実際の扱いは各都道府県の実施要項で確認してください。

自己申告書はどこの都道府県にもありますか

令和6年度の調査では、26都道府県が全校で、3都道府県が一部の学校で実施しています。最新の令和7年度版でも、全校で実施は26都道府県、一部の学校で実施は2都道府県です。すべての都道府県にあるわけではないため、自分の地域の実施要項で確認してください。

自己申告書を出すと不利になりませんか

群馬県は、インタビューシートについて「記載の有無や内容によって不利が生じることはない」と明示的に周知しています。他県でも同趣旨の運用と考えられますが、明文化されているかは県によります。中学校の進路担当に確認してください。

内申点がまったくつかない場合はどうなりますか

県によって扱いが異なります。神奈川県には、長期欠席を理由とする申請をすると志願者が指定した学年の学習の記録を選考に使用しない仕組みがあります。北海道はレポート提出や課題学習で評価する原則を示しています。福井県は評価不能の場合に記入漏れと区別する記号を使います。

不登校の生徒向けの募集枠はありますか

埼玉県はすべての高等学校の一般募集で特別な選抜を実施し、佐賀県は全日制2校に募集枠を設けて調査書を点数化しないとしています。令和6年度調査では、不登校の者が受検しやすい学科やコースを設置している県は、一部の学校での実施が5県あります。

私立高校でも同じ配慮がありますか

この調査は公立高等学校を対象としたものです。私立高校の選抜方法は各校が独自に定めるため、志望校の募集要項で個別に確認する必要があります。

出席扱いの制度を使えば欠席日数は減りますか

指導要録上の出席として扱われるため、記録上の欠席日数は減ります。ただし認めるのは在籍校の校長で、文部科学省が示す要件を満たす必要があります。申請には時間がかかるので、受験の年度になってから動くのでは間に合わないことがあります。

配慮制度はいつ調べ始めればよいですか

中学3年の春から夏にかけてが目安です。自己申告書の提出条件に「いずれかの学年で30日以上」といった基準がある県もあり、早く知っておくほど選択肢が残ります。まず中学校の進路担当に聞くのが最短です。

まとめ

不登校を経験した生徒の高校受験には、都道府県ごとに配慮の仕組みがあります。最も多いのは自己申告書で、令和6年度調査でも最新の令和7年度版でも26都道府県が全校で実施しています。調査書の一部を選考に使わない仕組みや、専用の募集枠を設けている県もあります。国も令和8年6月の通知で、出席の状況だけで不利益に扱わないことなどを各都道府県に望むと示しています。

大事なのは、これらが自動的に適用されるものではないという点です。申告書を出す、申請書を提出する、といった家庭側の行動が前提になっている仕組みがほとんどです。制度があることを知らないまま出願すると使えません。中学校の進路担当に聞き、都道府県教育委員会の実施要項を自分でも読んでください。

全日制以外の道も並行して見ておくと判断に余裕が出ます。不登校の子が高校に進むときの選択肢と不登校の出席扱いとは?文部科学省が示す7つの要件と申請の進め方もあわせてご覧ください。

出典:文部科学省「令和6年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」/同「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」。確認日2026年9月10日。/文部科学省「令和7年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」(令和7年12月26日付事務連絡、令和8年2月17日更新)/同「高等学校入学者選抜等における配慮事項等について(通知)」(令和8年6月30日付 8文科初第882号)/同「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(令和7年10月29日公表)。確認日2026年10月8日。

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