神奈川県教育委員会のリーフレット「公立高校の定時制・通信制に進学を希望するみなさんへ」に載っている公立の通信制は、横浜修悠館高等学校と、厚木市の県立厚木清南高等学校の2校です。厚木清南は全日制・定時制・通信制の3つの課程を1つの校舎に置く「フレキシブルスクール」で、通信制の生徒も一部の科目は全日制・定時制の授業を受けられます。一方で学校のQ&Aは、別室やオンラインでの出席は認めず、3年で卒業できるのは例年2割程度だとはっきり書いています。この記事では学校の公式サイト、2026年度学校案内、Q&A、進路状況と県のリーフレットを読み直して、費用と学び方、入学の条件をまとめました。
この記事の要点
- 全日制・定時制・通信制の3課程を置く単位制普通科のフレキシブルスクール。通信制の生徒も一部の科目は全日制・定時制の授業を受けられる
- スクーリングは日曜(年18回)・火曜の教科スクーリング(年20回)・木曜の夜間(年6回)。費用は受講料が年約1万円、教科書・学習書代が年約2.5万円
- 前期・後期の半期ごとに単位を認定し、条件を満たせば9月末に卒業できる
- 別室やオンラインでの出席はなく、3年で卒業するのは例年全体の2割程度
- 新入学の選抜は作文。転入学は県外からの転居など特別な事情がないと認められない
厚木清南高等学校はどんな学校か
運営法人と本校の所在地
設置者は神奈川県で、2005年(平成17年)に県立高校改革推進計画にもとづいて開校し、前身の厚木南高校の時代から厚木市岡田の地にあります。所在地は神奈川県厚木市岡田1丁目12番1号で、小田急線本厚木駅から約1.1km、徒歩13分ほどです(申請すれば自転車通学もできます)。特色のページでは「全日制・定時制の6時間(90分×6)の時間帯に通信制の学びのシステムを加えた、全国で唯一の3課程一体の単位制普通科高校」と説明しています。通信制の生徒も、一部の科目は全日制・定時制の授業を受けられ、専門学校(岩谷学園、町田・デザイン専門学校)の講座に出て単位を取ることもできます。ただし校長あいさつにあるとおり、必履修科目は入学した課程で学ぶという制約があります。通信制課程の電話は046-228-5346(日曜〜木曜の9時〜17時)です。
コースの種類と選び方
通信制課程のスクーリングは3種類あります。
- 日曜スクーリング 年間18回、日曜日に実施
- 教科スクーリング 年間20回、火曜日に個別指導の形式で実施
- 夜間スクーリング 年間6回、木曜17時30分〜20時20分。働きながら学ぶ生徒向け
日曜スクーリングは1日6時限の一斉授業、教科スクーリングと夜間スクーリングは主に個別指導です。県のリーフレットによると、このほか4月の春季基礎スクーリング、8月の夏季スクーリング、1月の冬季スクーリングもあります。毎週木曜の13時〜16時30分は学習相談の日で、事前に科目担当の先生と予定を合わせれば個別に教われます。
学校のQ&Aは、仕事をしながら卒業を目指すなら、少なくとも火曜か日曜のどちらかのスクーリングにほぼ毎回出席できることが前提だとしています。体育のように出席回数の多い必修科目があるためです。横浜修悠館高等学校の平日講座(週4日目安)・日曜講座(週1日)とは時間割の分け方が違います。
生徒数と卒業率
通信制課程の生徒数は公式サイトの範囲では確認できませんでした。クラスは17あり、入学時にどれかに割り振られて卒業まで同じクラスで過ごします。どのクラスにも各年次の生徒がいます。卒業率そのものの数値はありませんが、Q&Aには「例年、3年で卒業できるのは全体の2割程度です」とあります。3年で卒業するには毎週4〜5通(16〜20ページ)のレポートを進め、週1回程度授業に出ることが前提だそうです。
厚木清南高等学校の学費
入学後にかかる費用
受検料と入学料はかかりません(県のリーフレット)。2026年度学校案内のQ&Aに出ている通信制の年間費用は次のとおりです。
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 授業料(受講料) | 約10,000円 | 履修する単位数で変わる |
| 諸会費 | 4,500円/年 | |
| 教科書・学習書代 | 約25,000円/年 | 有職者などは後日還付される制度あり |
| 体育着・体育館シューズ代 | 約7,000円 | 学習用端末の購入は通信制では不要 |
合計すると1年目はおよそ4.6万円です。以前この記事では受講料を「1単位350円」と書いていましたが、今回確認した学校案内には単価の記載がなかったため、学校案内の表記に合わせました。制服はなく、ブレザーの「標準服」は購入も着用も任意です。
就学支援金を使うといくらになるか
学校案内には「ご家庭の経済状況により、高等学校就学支援金制度をご利用いただけます」とあります。2026年4月からは就学支援金の所得制限がなくなりました(文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度の概要」)。同じ県立通信制の横浜修悠館高等学校の令和8年度の案内では、オンラインで申請し、認定されると年度末に受講料が返金される流れです。厚木清南での具体的な手続きは入学後に学校から案内されます。教科書・学習書代には、パートやアルバイトを含め90日以上勤めている有職者などを対象にした還付制度があります。
他校と比べて高いか安いか
当サイトで扱ってきた私立の広域通信制高校と比べると、年5万円弱という水準はかなり安く、横浜修悠館高等学校とほぼ同じ範囲です。両校とも公立という共通点があるため、学費だけで選ぶ場合はどちらも有力な候補になります。違いは後述するスクーリングの形式と、全日制・定時制との行き来のしやすさです。
厚木清南高等学校のスクーリングはどこで何日か
日曜スクーリング年18回、教科スクーリング(火曜、主に個別指導)年20回、夜間スクーリング(木曜17時30分〜20時20分)年6回が基本で、会場は厚木市の本校です。学校のQ&Aでは別室対応やオンライン授業は行わず、ほかの生徒と同じ教室で出席することが前提とされています。教室で落ち着いて授業を受けられることが入学の前提だとも書かれています。試験は前期・後期に、日曜日や平日に年13回設定されています(県のリーフレットでは年14日間程度)。日曜スクーリングの日には、1歳から小学校入学前の子どもを預けられる託児サービスがあります。
学校説明会の代わりに、学校概要と入学者選抜の説明動画、Q&AのPDFが公開されています。2026年度は10月11日(日)にレポート体験会とスクーリング公開があり、学校見学ができるのはこの日だけとされています(車での来校は禁止)。
厚木清南高等学校で卒業するために必要なこと
単位の取り方とレポートの量
学習の流れは横浜修悠館高等学校と同じく、レポートを提出して添削を受け、スクーリングに出席し、試験を受ける「学習の三本柱」です。レポートは教科書や学習書の該当ページから用語を抜き出したり演習問題を解いたりして作ります。卒業には3年以上の在籍、必履修科目の履修、74単位以上の修得、特別活動30時間以上の出席が必要です。この学校ならではの仕組みは、1年を前期・後期に分けて半期ごとに単位を認定することです。通信制の特色のページには「卒業に必要な要件を満たした場合には、9月末に卒業することができます」とあります。年次(学年)は4月1日時点の修得単位数で決まります。
卒業できずにつまずく人のパターン
学校のQ&Aは率直です。公立の通信制は国の基準に沿って、科目ごとの対面の出席回数とレポート数の両方を満たし、試験に合格しないと単位が取れないこと。授業に出るだけでも、レポートを出すだけでも卒業できないこと。数学と英語には学び直しの科目があるものの、中学校までの学習が不十分だと卒業まで時間がかかる可能性があること。卒業後の進路決定は100%ではないこと。こうした点がはっきり書かれているので、入学前に読んでおくと入ってからの見込み違いを減らせます。
厚木清南高等学校の入学条件と出願の流れ
県立高校のため、入学できるのは原則として神奈川県内に住んでいる人(または県内に勤めている人)です。詳しい志願資格は県教育委員会の募集案内で確認してください。新入学は県の公立高校入学者選抜の「共通選抜」と「定通分割選抜」で行われ、通信制の検査は作文です。県のリーフレットに載っている令和9年度入学者の日程は次のとおりです。
| 選抜 | 出願 | 作文 |
|---|---|---|
| 共通選抜 | インターネット出願。志願情報申請2027年1月25日〜29日、中学校長承認1月25日〜2月1日 | 2月16日〜18日のうち高校が指定する日 |
| 定通分割選抜 | 志願先の高校窓口に願書を提出。3月4日・5日 | 3月15日・16日のうち高校が指定する日 |
高校をすでに退学した人は編入学になり、ほとんどの生徒がこちらに当たります。一度高校の在籍が切れるので、前の学校の同級生と同じ時期に卒業することはできません。転入学(退学せずに転校すること)は、県外からの転居などの特別な事情がない場合は認められないとQ&Aにあり、相談先は在籍校と県教育委員会の転編入学情報センター(045-210-8235)です。編入学の出願には前の高校が発行する成績単位修得証明書が必要で、発行に日数がかかるので早めに頼んでおきます。
厚木清南高等学校のサポート体制
不登校からの入学に対応しているか
学校のQ&Aには「中学校や前籍の高校で不登校でも、入学して卒業を目指していけますか」という質問があり、答えは「授業教室で、しっかりと学習をすること」「自ら学習を進め、レポートを提出できること」の2つが前提、というものです。別室対応やオンライン授業はないので、教室に入るのが難しい時期にある人は、無理のない時期を選ぶか、別室登校やオンライン授業に対応している学校と比べて考えるほうが安全です。一方で、さまざまな事情や特性を持つ生徒が多く学んでいるとも書かれていて、木曜午後の学習相談で個別に教わることはできます。
進学と就職の実績
通信制課程の「過去3ヶ年の進路状況(令和8年3月末)」では、進路が決まった人の数が2023年35人、2024年44人、2025年43人です。2025年の内訳は大学11人(通信制大学を含む)、短大1人、専門学校等13人、就職18人でした。大学は神奈川工科大学、帝京平成大学、文教大学、和光大学、放送大学などで、就職先には運輸、製造、販売、福祉などの企業が並びます。卒業者の総数は載っていないので、進学率や就職率は計算できません。
横浜修悠館高等学校との違い
| 比較の軸 | 横浜修悠館高等学校 | 厚木清南高等学校 |
|---|---|---|
| 学校の枠組み | 通信制課程の単独校 | 全日制・定時制・通信制が一体の「フレキシブルスクール」 |
| 時間帯の分け方 | 平日講座(週4日目安)・日曜講座(週1日)。全講座でオンラインレポート | 日曜スクーリング・教科スクーリング(火曜個別指導)・夜間スクーリング(木曜) |
| 年間の費用の目安 | 受講料1単位350円(日曜)・700円(平日)、諸会費6,000円、教科書代1万〜1.5万円 | 受講料約1万円、諸会費4,500円、教科書・学習書代約2.5万円、体育着等約7,000円 |
| 卒業時期 | 3年以上、何年かかっても条件を満たせば卒業可 | 前期・後期の半期認定制で、条件を満たせば9月末卒業も可能 |
| 他課程との関係 | 単独校のため他課程はなし | 一部科目は全日制・定時制の授業を履修可能 |
厚木清南高等学校の評判で気をつけて読むところ
「フレキシブルスクール」という枠組みは全国的にも珍しいため、口コミの中には全日制・定時制の話と通信制の話が混同されているものがあります。口コミを読むときは、書き手が3課程のどれに在籍していたのかを確認してください。同じ学校名でも、通信制課程の実態とは異なる感想が混ざっている可能性があります。
厚木清南高等学校が向いている人と向いていない人
- 向いている人 神奈川県内に住んでいて費用を抑えたい人、火曜か日曜に毎週通えて自分でレポートを進められる人、全日制・定時制の科目も取ってみたい人、9月末卒業も視野に入れたい人
- 向いていない人 神奈川県外に住んでいる人(入学対象外)、別室登校やオンライン授業で出席したい人、手厚い学習サポートがないと自宅学習が進まない人
通信制高校は1校だけ見て決めない
厚木清南高等学校は、公立ならではの学費の安さに加えて、全日制・定時制との行き来や半期ごとの単位認定という独自の柔軟さが特徴です。同じ神奈川県の公立通信制である横浜修悠館高等学校とはスクーリングの形式や卒業時期の仕組みが異なるため、どちらが合うかは個別相談で比較することをおすすめします。東京都内に住所か勤務先がある人は、都立の一橋高校・新宿山吹高校・砂川高校の通信制課程も比較の対象になります。
厚木清南高等学校に関するよくある質問
「フレキシブルスクール」とは何ですか
全日制・定時制・通信制の3つの課程を1つの学校に置き、課程の垣根を越えて学べる仕組みです。厚木清南高等学校は特色のページで「全国で唯一の3課程一体の単位制普通科高校」と説明しています。通信制の生徒も一部の科目は全日制・定時制の授業を受けられますが、必履修科目は入学した課程で学びます。
9月末に卒業できるのはどんな仕組みですか
1年を前期・後期に分けて、半期ごとに単位を認定しているためです。前期の終わりに卒業の要件を満たしていれば、3月を待たずに9月末に卒業できます。
横浜修悠館高等学校とどちらを選べばよいですか
費用はほぼ同じ水準なので、通い方で比べるとよいでしょう。厚木清南高等学校は日曜・火曜(個別指導)・木曜夜間のスクーリングで自学自習が基本、横浜修悠館高等学校は週4日目安の平日講座と週1日の日曜講座を科目ごとに選べます。厚木清南は別室やオンラインでの出席がない点も確認しておいてください。
学力試験はありますか
学力検査はなく、通信制の検査は作文です。令和9年度入学者の共通選抜では2027年2月16日〜18日のうち高校が指定する日に行われます。
編入学するにはどんな書類が必要ですか
願書に加えて、中途退学した高校が発行する成績単位修得証明書が必要です。発行に日数がかかるので、出願を考えた段階で早めに前の高校へ頼んでください。
まとめ
厚木清南高等学校は、全国で唯一の「3課程一体のフレキシブルスクール」という枠組みを持つ神奈川県の公立通信制高校です。費用は年5万円弱で横浜修悠館高等学校と同じ水準、日曜・火曜(個別指導)・木曜夜間のスクーリングと、半期ごとの単位認定による9月末卒業が特徴です。一方で別室やオンラインでの出席はなく、3年で卒業できるのは例年2割程度と学校自身が書いています。入学できるのは原則として神奈川県内の人で、ここが私立の広域通信制高校との大きな違いです。
神奈川県のもう1つの公立通信制は横浜修悠館高等学校、居住地を問わず選べる私立の通信制高校の学費は通信制高校の学費を都道府県別に比較にまとめています。公立を選ぶか私立を選ぶかで何が変わるかは公立と私立の通信制高校はどっちがいいかで整理しました。
出典:神奈川県立厚木清南高等学校公式サイト(https://www.pen-kanagawa.ed.jp/atsugiseinan-h/)「特色」「学校概要」「通信制の特色」「通信制:入学希望者の方へ」「交通アクセス」、2026年度学校案内PDF、清南通信よくあるQ&A(PDF)、通信制 過去3ヶ年の進路状況(令和8年3月末、PDF)、神奈川県教育委員会「公立高校の定時制・通信制に進学を希望するみなさんへ(令和9年度入学者用)」とチラシ、文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度の概要」。確認日2026年10月4日。